1.愛媛県酒造協同組合 栗栖事務局長のお話
■愛媛県酒造協同組合について
愛媛県には東西にかけて35もの蔵元が点在しており、それらを東予・中予・南予の3つの地域に分けて管理・サポートしております。例えば、蔵元がお酒造りに集中できるよう原料米の共同購入やJA全農えひめ酒米センターとのやり取りを代行しています。他にも蔵元が造ったお酒を国内外で販売したり、紹介する仕事も行っています。
■愛媛県の日本酒の特徴について
「愛媛のお酒は甘い」というイメージが昔はありました。しかし、県外の方との勉強や交流会などで感想を聞くと、「今、愛媛のお酒は甘口から旨口に変化している」と言っていただけることが多くなりました。
愛媛県は瀬戸内海と石鎚山に代表される山々に囲まれた地域で、海の幸・山の幸ともに豊富です。そのため、魚やお肉に合う食中酒として、料理を食べていると飲みたくなり、飲んでいると料理を食べたくなるようなお酒を目指しています。
■日本酒の海外輸出プロジェクトについて
6年前に中村県知事の発案で、愛媛県産品を国内外に販売・紹介する営業本部が愛媛県庁内に発足しました。なんとかして日本酒を海外に輸出したいという愛媛県庁の思いもあり、蔵元と愛媛県酒造協同組合が協力するかたちで「愛媛の酒海外商品力強化プロジェクト」が開始しました。
当初はアルファベット表記すら無いラベルのまま海外の見本市で日本酒の紹介をしていたため、なかなかうまく魅力や特徴を伝えることができませんでした。また、愛媛県に在住する海外の方にラベルについて意見をもらったところ、「漢字が中心のデザインはいいと思うが、アルファベット表記すら無いと海外の人には中身が何か、どんなお酒なのか全く分からない。」と指摘を受けました。
そこで1年の中で選ばれた5蔵元に100万円ずつ、合計500万円の補助金を支給し、県内のデザイナーとともに日本酒のラベルやパッケージの変更していくことに決定しました。
3年間で15蔵元がプロジェクトに参加して、うち10蔵は順調にプロジェクトが進行し、無事に新ラベル・新パッケージのメディア発表も行えました。しかし、残りの5蔵は新型コロナウイルスの影響で新デザインのお披露目ができていない状況にあります。
■新型コロナウイルスの影響について
2021年9月までは多くの都道府県で緊急事態宣言が発令されており、愛媛県もまん延防止等重点措置の対象地域でしたので、国内での需要は凍りつきました。
また、台湾を中心に半年で売上が1,000万円に達するほど順調に日本酒の輸出プロジェクトを展開できていたのですが、今は海外に出張して営業を行うことすらできなくなりました。新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、日本酒を輸入する際の検査のハードルを上げている国もあり、検査に合格できるよう対応することにも非常に苦労しています。
前期に酒造りした商品在庫が、現状においても必要十分以上に有る為、今期の酒造りは残念ながら減産する予定の蔵元もあります。日本酒の原料である酒米も余ってしまっている状況です。